レイ・ブラッドベリ 「あとがき____生きるなら走れ」
おしまいに、
すっかり年輪を重ねた少年魔術師、かくいう私と、そしてあなた向けて、
何かアドバイスはないだろうか?
夜明けの劇場のざわめきにあなたの鼻の詰まりが取れてきたら、
ぐずぐすしない事だ。
飛び起きろ。
声はいつ何時、消えてしまうかもしれない。
頭をはっきりさせようと、シャワーに飛び込んでいては手遅れだ。
スピードが肝心。
時速90マイルでタイプライターに駆けつける事____
それが放埓な生と、隠れもない死の一番確かな治療法なのだ。
生きるなら走れ。
そう、その通り。
生きろ。そして書け。全速力で。
レイ・ブラッドベリ 「あとがき____生きるなら走れ」より抜粋